NO.007

ハニー


先日僕はやっとマイハニーに出会う事が出来ました
それはとても美しくて、僕は嬉しくてたまらなくなり
『これから末永く宜しくね』と
そっと手を添えて、そう呟きました

ずっと憧れてきたんです、小さな頃から
風を切りながら一緒に色んな所へと
どこまでもどこまでも走って行くのを

何が好きかってあの人とマシンが一体になって走る姿
直接この体に感じる風を切る感触
一つ一つの操作がその一つ一つの挙動へと伝わっていく確かさ

失いたくは無いと思いました
大切に一緒の時を過ごしていこうと

しかし考えなければいけない事もある
一緒に過ごしていくという事は常に自分が危険と
隣り合わせでいるという事も自覚しなければならない
たとえ自分がどんなに注意していたとしても
いつ何に巻き込まれる事になるかわからない
そしてたった一度の事がその全てを失わせる事にもなるかもしれない

それが自分の命になるのか
誰かの命になるのか、どちらにしても大き過ぎる代償だ

たとえほんの小さな事ですんだとしても
一緒に過ごしてきた友が傷付くのを見るのは何よりも辛い事
それがほんの小さな傷だとしても、想像するだけで胸が締め付けられる

これは他人事ではないし、自分には起こり得ないなんて言っていられない
だからといって付き合いを辞める事なんて出来るはずもない

僕はもう一度そっと手を添えて静かに目をつぶった
これから良い付き合いをしていけるようにと願いを込めながら