2004.05.11 【NUIT】

先に一言言っておこう
「私はついに手に入れた」と

私はアサシンである
普段は楽器を持ち陽気におどけているようにみせ
夜は闇に紛れ、影に身を潜め、誰にも悟られぬよう
獲物に狙いを定め、隙を窺っている

その日も私はじっと身を潜め
誰にも気付かれぬよう、ただ静かに
その場に微動だにせずにいた

どの位の時間が経っただろうか
人影はまばらに窺える
そのターゲットを狙うものは多い
つまり敵は数え切れないほどいるという事

しかし私とて引くわけにはいかない
任務は成功させねばならない
金のため?そんなもののためではない

これは私自身の生き方
そう、私が私であるための証明だ

それを失う事はつまり、私にとっての死と同義
私は私の全てを賭けているのだ

っとふとした刹那、今までまるで
時が止まっていたかのような気さえした時
その時が、空気が動いた

勝負は一瞬でついた
コンマ数秒の差だった

そして私は今その証しをこの手にしている